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ライブハウスでの出会い

赤坂にある“E”というライブハウス。
ライブハウスといっても、いわゆる若者たちが多く集まるところではない。
“同好の士”が、老いも若きも、また男も女も関係なく集まるところだ。
いわゆる“エレキギター”が大好きな連中が集まり、常日頃の精進の成果を披露するところなのだ。
だから、ある意味ではコンペティティブな部分もあるから面白い。
俺はアラフォーを過ぎている中年のオッサンで、ギターが唯一の家族と言う、世間一般的に見れば寂しい奴だ。
でも、俺たちのバンドは“ベンチャーズ”を完全にコピーできる唯一のバンドとして、この“E”のみならずインストをやっている連中からは、一目も二目もおかれている、いわばこの世界の重鎮。
俺はこのバンドでリードギターを担当している。
ベンチャーズの曲なら何でもOKで、今日もアンコールに応えて“クルーエルシー”を最後にステイージを降りた。
演奏を終えて、カウンターの隅に腰掛けてビールを飲んでいると、若い女性が隣に立ち「素敵な演奏でした。ありがとうございます」
という。
なんで礼を言われたのかは、全く解らない。
「とんでもない、貴方もギターをやるの?」と訊いた。
「はい、次の次が私たちの出番です。そこでお願いがあります。いきなり不躾なので申し訳ありませんが、“クルーエルシー”の評価をお願いできませんでしょうか。勝手なお願いですが・・・・・・」と言う。
「評価だなんて、そんなことは抜きで聞かせてもらいますよ」と、俺は言った。
彼女達の演奏が始まった。
つぶさに聞かず、いつもやるようにイメージを“ノーキー・エドワース”において聞いた。
ちょっと、ピッキングが弱いかなと思ったが、全体的にはよくコピーが出来ているし、もしかしたら俺の次に上手いぐらいだと、
正直に感じた。
たぶんアラサーの年齢だろうが、あの年齢の若い女性があんなにベンチャーズをこなせるとは、逆に言えば脅威的だ。
演奏を終えた彼女が戻ってきた。
「お疲れさん、素晴らしかったぜ。評価のしようもないよ。それぐらい素晴らしかった。ピッキングがもう少し強くなれば、俺よりも上手いんじゃないの」
俺が言うと「そこなんです。自分でも解っているのですが、どうしても強くピッキングできなんですよ、私〜」
彼女は沈み込みそうになる。
「でもさ、ターギー初めてどれぐらい?俺はもう三十年近くやってて、まだこれぐらいだよ」
「私は・・・・・・、あの〜、まだ半年ぐらいです」と言われて、俺はひっくり返りそうになった。
まさに天才ではないか。
それから、さまざまギターの話しをしながら、お互いに大いに飲みまくった。
そして、こんど紅葉を見に行く約束をした。
こんなに女性に対して、心が弾むことは十年近くなかったことだ。
なんだか、恋をしてしまったようだ。

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